insulaさん(鉱物ジュエリーデザイナー)ロングインタビュー③
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insulaさん(鉱物ジュエリーデザイナー)ロングインタビュー②
—あなたにとってものづくりとは。
自分が心の中に持ってる世界を現実化する方法、かな。
目に見えない、私にしかわからない世界を世に出すための手段。
それも美しい世界。私が思う美しい世界ってこんなだよ、綺麗でしょ、って伝えていきたい。
どう美しいの?って言われた時に、こんな石があってね、こんな風に輝くんだよ、っていうのを見せてあげて……
これが地球の中に埋まってて、人の手をかけないとこれは出てこないし、そこでさらに私が指環にしないと、あなたの目の前にはないんだよ、みたいな。
世界って地球って自然ってすごく綺麗だよ。美しいよ。っていうのを見せたいっていうのが、私のものづくり、かな。
でも単なる自然賛美とは違うというか。
私が京都とか伝統芸能が好きな理由なんですけど、自然に人の手が少し加わるだけでもっとすごい世界があるよ。人も捨てたもんじゃないっていうか、私たちも美しい世界を作るためにできることってもっとあるんじゃない、っていうのはすごいいつも思ってて。
だって自然が一番美しいんだったら、人間要らないじゃないですか?
でもこの宝石達は、地球の生成の歴史と同じ時間をかけてずっと地中にあるけど、人間が掘り出して磨かなければ、絶対に輝かないんですよ。磨かないでカッティングしなかったら、ただの泥のついたかたまりで。
動物達は石になんの感慨もないですから。そこに美しさを見出す人間がいて、それを磨いてみよう!身に付けられるようにしよう!ってして。
あなたにとってものづくりとは?の答えっていうと、「自然の力でできたものと人の手の融合」かなって。石にすこーしだけ手を加えて、それを綺麗に見せられたらいいなと思います。

—ではこれからの夢を聞かせてください。
まずひとつは、海外に石の仕入れをしに行きたいですね。
実際に石の産地に出向いて、どんな土地からどんな状態で石が出てくるのかってすごい興味があって。
—マダガスカルとか?
いいですね、マダガスカルだったらローズクォーツかな。あとスリランカとかインドとか。
インドに仕入れに行く人が多いけど、スリランカも宝石の島らしくて、あらゆる種類の宝石が出るんですって。
宝石って、職人さんとかが一個ずつ手でチィーンチィーンって削ってるんですよ。
多分日本の賃金からはとても想像できないような安い値段でやってたりするから、フェアトレードっていうか、日本での末端価格で現地の人にお金を払いたい。
それから、ブランド名を「insula international」でやっていきたいと思ってて、いつか海外で実際に通用するような展示ができるようになりたいなと思いますね。
台湾とかニューヨークとか、私が好きな土地で。
世界と関わるブランドになりたいです。
—では、お客さんやファンの方へのメッセージをお願いします。
お客さんからよく「石の効果は?」って聞かれるんですね。パワーストーン的な。
でもそれはなんでもよくて、石がすごーい長い時間をかけて成長してきたのを考えるだけで、私はパワーをもらえる。
このあいだネットで読んだんでほんとかどうかわかんないんですけど、ダイヤモンドの中で一番新しいものの生成年代が1〜2億年前らしいんです。その年月を思った時にすごい敬虔な気持ちになる。
それからオパールは1cm成長するのに500万年だそうで。種類によるんですけど、たった1cm、あなたの指の上に乗ってる1cmは500万年ですよと。私たちの一生なんか消し飛んじゃう。
しかもそれを、削って削って綺麗な部分だけにした結果が、この1cmだから。
—なんかそう聞くと有り難みが凄いですね。。。

そうしたときに、身に付けたときの心強さ、なんていうか、自分のちっちゃい悩みをこれに解決してもらおうとするよくわからなさ。
たとえば今ウイルスがはやってて大変だけど、あーどうしようどうしよう、って見えない不安いっぱいあるけど、石って全然変わらないですよ。
「だから?」って。黙ってずっとそばにいてくれる。
なんかそういうのが好きな方に、ぜひ実物を見て欲しいなって。
石を見ながら地球の歴史について思いを馳せてみる。
そういう時間を個展で持ってもらえたらすごく嬉しいなって思います。
身に付けられる自然物ってあんまりないじゃないですか?お花とかはあるけど半永久ではないし。
でも石だけは、太古の昔から人間の歴史とともに身につけて、お守りにするっていう力がある。
エジプトの装飾品、ラピスラズリとか中国のヒスイとか、何千年も昔から身につけてたっていうものだから。
もちろん単にファッションとして楽しんでいただくのもいいんですけど、
insulaのお客さんは、そういうことに思いを馳せてもらって、それと自分の人生をリンクさせてもらったらすごい人生が深くなるかなって。
それから作品の方向性としては、なんていうのかな、モダンジャパニーズ?
昔の和っぽいものに寄せるんじゃなくて、和の先と洋の先があわさって、モダンな感じの中に禅と和を感じる。ようにしたいです。
現代的な日本美、伝統美、伝統の先にあるもの。
一元的な、西洋化された近代ではなくて、
私たちの先にあるのと、現代のその感覚が融合したもの、みたいなところに行けたらいいなって。
伝統の先に、それを潰してくんじゃなくてどう成長させていくか、それを知った上で作っていける人になりたいなと思ってます。

(終)
[insulaさん 次回個展予定]
2020.7.23(木)〜27(月)
11:30〜19:30
@三軒茶屋cafe&gallery *LUPOPO*
profile——————————-
鉱物ジュエリーデザイナー insula(インシュラ)
神奈川の湘南出身、京都在住。指環を中心とした天然石のシンプルなアクセサリーを制作。石の持つ魅力を引き出すことを得意とする。年に数回LUPOPOで個展を行うほか、minneなどの通販でも活動中。
■Twitter:@insulas728 ■minne:minne.com/@insulas