ハンドメイド作品が売れない7つの理由
「もっと良い作品を作らなきゃ」と思う前に知ってほしいこと
「一生懸命作っているのに、作品がなかなか売れない」
そんなとき、多くの作家さんは、
「私の作品には魅力がないのかもしれない」
「もっと技術を磨かなければいけない」
「今より良い作品を作らなければ」
と考えてしまいます。
でも、売れない原因は、本当に作品の質なのでしょうか。
ぼくはLUPOPOを営みながら、18年以上にわたって、たくさんのハンドメイド作家さんと作品を見てきました。
その経験から感じるのは、
作品が売れないのは、作品が良くないからとは限らない。
ということです。
もしかしたら、作品を作ることは一生懸命やっているけれど、まだ十分に「売る活動」をしていないだけかもしれません。
作品を作ることと、作品を売ることは、まったく別の技術です。

この記事では、ハンドメイド作品が売れない7つの理由と、努力の方向をどう変えればよいのかをお伝えします。
最初に、自分が目指す作家活動を考えてみよう
作家活動には、さまざまな形があります。
自分の表現を楽しみたい人。
誰かに喜んでもらいたい人。
仲間との交流を大切にしたい人。
生活の中で無理なく制作を続けたい人。
作品を商売として販売し、継続的な収入を得たい人。
どれが正しい、間違っているということはありません。
自分の好きな形で楽しめばいいと思います。
ただし、目的によって必要な頑張り方は変わります。
趣味として楽しむことが目的なら、無理のないペースで、自分が心地よいと思える活動を続ければいい。
一方、商売として収入を得ることが目的なら、作品を作るだけでなく、販売するための技術と環境を整え、真剣に取り組む必要があります。
大切なのは、努力量を増やすことではありません。
自分の目的を明確にして、その目的に合った方向へ努力すること。
頑張る方向を間違えないことが、とても大切です。
理由1 「作る技術」と「売る技術」を混同している
作品を作るためには、技術や感性、発想力、表現力が必要です。
しかし、作品を売るためには、それとは別の技術が必要になります。
- 誰に届けたいのかを決める
- 作品の存在を知ってもらう
- 写真で魅力を伝える
- 作品の価値を言葉にする
- 安心して購入できる環境を整える
- お客様との接点を増やす
- 反応を見ながら改善する
作品を完成させた時点では、まだ「商品を用意した段階」です。
そこから知ってもらい、魅力を伝え、購入できる場所まで案内して、初めて商売が始まります。
多くの作家さんにとって、
頑張っている=作品を作っている
になりがちです。
でも、それは「制作を頑張っている」のであって、「売ることを頑張っている」とは限りません。
一生懸命作っているのに売れないのではなく、制作だけを頑張っていて、まだ十分に売っていない可能性があるのです。
理由2 活動のほとんどを制作に使っている
商売として作家活動をするなら、制作に使うエネルギーは、活動全体の20〜30%くらいだとぼくは考えています。
残りの70〜80%は、
- 撮影
- 言語化
- 発信
- 販売ページの整備
- お客様との関係づくり
- 数字や反応の振り返り
- 改善
など、作品を届けるための活動に使います。
もちろん、作品の種類や活動の段階によって割合は変わります。必ずこの数字でなければならないという意味ではありません。
大切なのは、制作だけが作家活動ではないと理解することです。
作家さんは、ものを作ることが好きだからこそ、制作にエネルギーを注ぎやすいものです。
作品が完成すれば達成感も得られます。
そのため、売れないときに、次のような悪循環へ入りやすくなります。
売れない
↓
私の作品が良くない
↓
もっと良い作品を作らなければ
↓
さらに制作へ集中する
↓
販売活動がますます不足する
↓
やっぱり売れない

しかし、本当の原因は作品の質ではなく、販売活動の不足かもしれません。
売れないからといって、必ずしも、もっとたくさん作る必要があるわけではないのです。
理由3 誰にでも売ろうとしている
作品を売ろうとすると、できるだけ多くの人に好かれた方がよいと思うかもしれません。
でも、誰にでも売ろうとすると、届けたい相手が見えなくなります。
「もっとシンプルな方がいい」
「違う色も作ってほしい」
「もう少し小さい方が使いやすい」
「今流行している雰囲気に変えた方がいい」
こうした声にすべて応えようとすると、作品にあった個性や世界観が少しずつ薄まってしまいます。
その結果、
誰からも嫌われないけれど、誰の心にも強く残らない作品
になってしまうことがあります。
すべての人に好かれる必要はありません。
考えるべきなのは、
「この作品を心から好きになってくれるのは、どんな人だろう?」
ということです。
届ける相手を絞ることは、可能性を狭めることではありません。
作品の個性を守りながら、本当に必要としている人へ強く届けるための方法です。

理由4 要望に応えすぎて、個性が薄くなっている
お客様の要望を聞くことは大切です。
ただし、すべての要望に応えることが、必ずしも作品を良くするとは限りません。
作家さんにしか作れない色、形、空気感、物語。
そこにこそ、作品が選ばれる理由があります。
売るために個性を削るのではなく、その個性を好きになってくれる人を探すこと。
それも「売る技術」の一つです。
お客様の声を参考にしながらも、
- 自分は何を表現したいのか
- どこだけは変えたくないのか
- 自分の作品らしさは何なのか
- 誰に届けたいのか
という軸を持っておく必要があります。
理由5 発信量が足りていない
どれだけ素晴らしい作品でも、知られなければ購入されることはありません。
一度投稿しただけで、すべての人へ届くわけでもありません。
まず必要なのは、発信の量です。
最初から完璧な投稿を目指すのではなく、発信する習慣をつけることから始めます。
同じ作品であっても、発信できることはたくさんあります。
- 制作した理由
- 素材を選んだ理由
- 特にこだわった部分
- 制作途中の様子
- おすすめの使い方
- どんな人に使ってほしいか
- 完成までの失敗や工夫
- お客様から届いた感想
同じ作品を、切り口を変えながら何度伝えてもいいのです。
発信を続けることで、どんな言葉や写真に反応が集まるのかも見えてきます。
まず量を出し、発信を習慣にする。
そのうえで、質を上げ続ける。
この順番が大切です。
発信は、作品を売るためだけのものではありません。
自分の作品の魅力を発見し、磨いていくための練習でもあります。
理由6 作品の魅力を言葉にできていない
作品を見せるだけでは、伝わらないことがあります。
なぜこの作品を作ったのか。
どこに時間をかけたのか。
どんな思いを込めたのか。
手にした人へ、どんな時間を届けたいのか。
こうした背景を伝えるのが、言葉です。
「かわいいアクセサリーです」だけでは、似たような作品との違いが分かりません。
一方で、
「忙しい朝にも、耳元を見るだけで少し気持ちが明るくなるように、透明感のある色を選びました」
と伝えれば、作品がある生活を想像できます。
言語化とは、難しい表現を使うことではありません。
自分の作品の魅力を、とことん考えることです。
- この作品の一番の魅力は何か
- ほかの作品と何が違うのか
- どんな気持ちから生まれたのか
- 誰の、どんな時間に寄り添うのか
- 手にすると何が変わるのか
これらを考え続けることで、作品の価値が言葉になっていきます。
理由7 写真で魅力を伝えきれていない
オンラインでは、お客様は実物に触れられません。
最初に見るのは、作品そのものではなく「写真に写った作品」です。
だから、写真は命です。
売れている作家さんは、ほぼ例外なく写真が上手です。
パッと見ただけで、
「すごい」
「かわいい」
「欲しい」
と思える。
つまり、作品の魅力が分かりやすく伝わっています。
写真は、作品を記録するだけのものではありません。
写真は、作品の魅力を一瞬で届けるための表現です。
もちろん、作品の大きさや素材によって必要な撮影方法は変わります。
しかし、商売として真剣に取り組み、継続的に収入を得たいのであれば、撮影機材や撮影環境は揃えるに越したことはありません。
カメラやレンズ、照明、三脚、背景など、必要な道具を整えることも、作品を届けるための投資です。
「スマホでも撮影できます」という意見も間違いではありません。
ただ、十分な知識と技術を持つプロが、表現方法としてスマホを選ぶことと、撮影を学ぶ前からスマホだけで済ませることは別の話です。
高価な機材を買えば売れる、という意味ではありません。
作品を作る道具へ投資するのと同じように、作品を届ける道具にも投資する。
商売として取り組むなら、その視点が必要です。
そして写真を撮ることで、
「この作品の魅力は、一目で伝わるだろうか?」
と確認できます。
魅力が伝わらない場合は、撮り方だけでなく、作品そのものをさらに分かりやすいところまで磨く必要があるかもしれません。
売れる作品とは、ただ質が高い作品ではありません。
その魅力が、一瞬で相手に伝わるところまで磨かれた作品です。
「売れない=作品が悪い」と決めつけなくていい

作品が売れないとき、すぐに自分の才能や作品の価値を疑わなくて大丈夫です。
一度、制作以外の活動を振り返ってみてください。
- 誰に届けたいか決まっているか
- 個性や世界観を守れているか
- 発信を習慣にできているか
- 作品の魅力を言葉にできているか
- 写真で魅力を十分に伝えられているか
- 安心して購入できる場所が整っているか
- 反応を振り返り、改善しているか
作品の質を高めることは、もちろん大切です。
でも、作品だけを磨き続けても、届く仕組みがなければ売上にはつながりません。
良いものを作れば売れるのではなく、
良いものを作り、その価値が届くところまで設計して、初めて売れる。
作る力と同じように、届ける力も少しずつ磨いていきましょう。
作品を必要としている人へ届けるために
作家活動には、いろいろな目的があります。
自分のスタンスで活動すればいいし、どの形も正解です。
ただ、商売として作品を届けていくなら、制作だけでなく、写真、言葉、発信、販売にも真剣に向き合う必要があります。
努力が足りないのではなく、努力の方向が目的と合っていないだけかもしれません。
「もっと良い作品を作らなければ」と制作へ戻る前に、
「私は、この作品を届けるために何をしただろう?」
と考えてみてください。
売るために個性を薄める必要はありません。
あなたの個性を好きになってくれる人を見つけ、その人へ伝わる写真と言葉を用意し、何度も発信する。
あなたの作品を待っている人は、まだ作品と出会っていないだけかもしれません。
その魅力が、まだ必要としている人へ十分に届いていないだけかもしれません。
作品を作ることも、写真を撮ることも、言葉にすることも、発信することも、最初から上手にできなくて大丈夫です。
自分が何を目指しているのかを忘れずに、今の自分に必要なことを、一つずつ身につけていきましょう。
あなたの作品を待っている人は、必ずどこかにいます。
あなたの作家活動を、これからも全力で応援しています。
この記事を書いた人

LUPOPO店主 花井
東京・三軒茶屋のカフェ&ギャラリーLUPOPO店主。
2008年4月16日のオープン以来、18年間にわたり、ハンドメイド作家さんの作品展示・販売・個展・企画展を通して、作家活動を応援してきました。個別の作家活動コンサルタントも受付しています。

















